今や東京都内でも貴重になりつつある、クラシックなたたずまいを今なお残すホテル。東京の山手線の内側のエリアで、今なお古き良き姿を残している「山の上ホテル」は、文豪の雰囲気や東京レトロを感じたい人にはぴったりです。
■小説とは不可分の山の上ホテル
小高い丘の上にたたずむホテルが、「山の上ホテル」です。山の上ホテルの名前通り、威風堂々とした姿はそこだけ時間の流れが穏やかになっているかのようです。
このホテルを有名にしたのは小説で、小説の中に山の上ホテルが登場したり、名だたる文豪が山の上ホテルに逗留をして執筆活動に励んだりと、小説とこのホテルは切っても切り離せない関係です。現在でも、現役の小説家が往時の雰囲気を楽しむためにこっそりと訪れるそう。もちろん、小説ファンには有名なホテルです。
■館内は落ち着いた雰囲気
クラシックホテルだと館内がどうも滞在しにくくて…とお嘆きの方もいらっしゃるでしょうが、山の上ホテルの館内は非常に落ち着いた雰囲気です。最近のホテルはエントランス部分がとても広くて、それだけでも圧倒されてしまうのですが、山の上ホテルはフロントもロビーも、ラウンジも非常にこじんまりとした雰囲気です。しかしそれがかえって、誰かの家にでも遊びに来たかのような安らぎを与えてくれます。
ラウンジの一角には、かの有名な小説家、池波正太郎が実際に執筆活動を行なった机が置かれています。
もちろん自由に座っても構いませんので、気分だけでも小説家になれます。
■文豪の愛した天ぷらに舌鼓
文豪の足跡を巡る山の上ホテルの旅は、見て滞在するだけでは終わりません。多くの文豪が愛してきた美食にも舌鼓を打ちましょう。現在では、東京ミッドタウンにも支店を出していますが、歴史ある元祖は山の上のホテルの「てんぷら山の上」です。
カウンターで職人の仕事を間近にしながら天ぷらを食すもよし、テーブル席で友達と歓談しながら天ぷらを食すもよしと、様々な楽しみ方があります。
デートで使っても、女性にはきっと好印象を持たれるでしょう。それほど品格のあるお店です。
旬の魚や旬の野菜を江戸前の技で仕上げる天ぷらは、多くの文豪に愛されてきました。前述した作家の池波正太郎氏はグルメとして知られ、彼の作品の中にも「てんぷら山の上」が登場します。季節の天ぷらをお得に食べられる天ぷら定食はもちろん、お好みで単品の天ぷらも揚げてくれます。天ぷらのお供には、新潟や埼玉の銘酒や九州の焼酎がよく合います。